生成AIと著作権|AIで作った文章や画像は自由に使える?

ChatGPTに文章を作ってもらったり、生成AIでイラストや写真のような画像を作ったりすることが、身近になってきました。
そこで気になるのが、「AIで作った文章や画像は、そのまま自由に使っていいの?」ということではないでしょうか。
自分でAIに指示して作ったものなら、ブログやSNS、会社のホームページ、広告などにも自由に使えそうな気がします。
しかし、生成AIと著作権の関係は、それほど単純ではありません。
「AIで作ったから著作権は関係ない」とは限りません
AIで作った文章や画像でも、既存の作品との関係によっては著作権について確認が必要になることがあります。また、AIで作ったもの自体が著作権で保護されるかどうかについても、作り方や人の関わり方などによって判断が変わります。
この記事では、法律の難しい話をできるだけ避けながら、生成AIで作った文章や画像を利用するときに知っておきたい著作権の基本を初心者向けに紹介します。
生成AIで作ったものは自由に使える?
生成AIで作ったものだからといって、どのような使い方をしても問題ないとは限りません。
生成した文章や画像を利用するときには、大きく分けて次の3つを考えておくと分かりやすいでしょう。
他人の権利との関係
生成された文章や画像が、すでに存在する作品の創作的な表現と共通していないかなどを確認します。
生成物自体の著作権
AIで作ったものすべてに、自動的に利用者の著作権が発生するとは限りません。
AIサービスの利用条件
著作権とは別に、利用している生成AIサービスの利用規約や商用利用の条件なども確認します。
この3つは別々の問題です。
「サービスで商用利用が認められているから著作権も大丈夫」「AIで作ったから自分の著作物になる」と単純に考えず、それぞれ分けて確認することが大切です。
まず知っておきたい「著作権」とは?
著作権とは、文章、イラスト、写真、音楽など、人が創作した著作物を保護するための権利です。
たとえば、他人が描いたイラストを無断で自分のホームページに掲載したり、他人の記事をそのままコピーして自分の記事として公開したりすれば、著作権の問題になることがあります。
生成AIを利用した場合も、他人の著作物との関係を考える必要がなくなるわけではありません。
AIを使えば他人の著作物が自由に使える、ということではありません
生成AIを利用して作った文章や画像であっても、既存の著作物との関係によっては著作権上の問題が生じる可能性があります。
AIで作った画像が既存作品に似ていたら?
生成AIで画像を作ったところ、「どこかで見た作品に似ている」と感じることもあるかもしれません。
著作権侵害に当たるかどうかを考えるときには、一般に既存の著作物との「類似性」と「依拠性」が重要になります。
類似性とは?
簡単にいうと、既存の作品との間に、著作権で保護される創作的な表現の共通性があるかということです。
単に「なんとなく雰囲気が似ている」というだけで、すぐに著作権侵害になるという意味ではありません。
文化庁の資料でも、アイデアや作風が共通しているだけの場合と、具体的な創作的表現まで共通している場合は分けて考えられています。
完全なコピーでなくても確認が必要な場合があります
元の作品と一字一句、または一画一画同じでなければ問題ない、ということではありません。既存作品の創作的な表現との共通性などを、具体的な内容に応じて考える必要があります。
依拠性とは?
もう一つが「依拠性」です。
簡単にいうと、既存の作品をもとにして作られたといえるかどうかという考え方です。
たとえば、特定の作品を生成AIに読み込ませたり、既存作品を示して似たものを生成するよう指示したりした場合は、元の作品との関係について、より慎重に考える必要があります。
実際に著作権侵害に当たるかどうかは、個別の事情によって判断されます。
「○○先生風」「○○風の絵」は大丈夫?
画像生成AIを使っていると、
- 「○○風のイラストにして」
- 「○○先生のようなタッチで」
- 「○○作品のような雰囲気で」
と指定したくなることもあります。
ここで知っておきたいのは、「作風」と「具体的な作品の創作的な表現」は同じではないということです。
文化庁の資料では、いわゆる「作風」がアイデアにとどまる場合、その作風が共通すること自体は著作権侵害になるものではないと整理されています。
一方で、単なる作風の共通を超えて、既存作品の創作的な表現が生成物から直接感じ取れるような場合には、著作権侵害となる可能性があります。
「○○風なら必ず大丈夫」という意味ではありません
言葉として「○○風」と指定したかどうかだけではなく、実際に生成された画像が特定の既存作品とどのような関係にあるのかを見ることが大切です。
また、有名なキャラクター、企業のロゴ、実在する人物などが含まれる場合は、著作権以外の権利が関係する可能性もあります。
AIで作った文章も注意が必要?
著作権について気になるのは、画像だけではありません。
ChatGPTなどを使えば、
- ブログ記事
- 商品説明
- メール
- 広告文
- 小説や物語
- SNSの投稿文
など、さまざまな文章を作ることができます。
AIが生成した文章についても、既存の記事や作品との関係によっては確認が必要になることがあります。
生成された文章は一度読み直そう
ブログや会社のホームページなどで公開する場合は、内容が正しいかどうかだけでなく、特定の記事や作品をそのまま写したような内容になっていないかも確認しておくと安心です。
また、AIが生成した文章には事実と異なる内容が含まれることもあるため、著作権とは別に内容の確認も必要です。
AIで作ったものに「自分の著作権」はある?
ここで逆の疑問も出てきます。
「自分がAIに指示して作った画像や文章には、自分の著作権があるの?」という問題です。
これについても、「AIを使って作ったから著作権がある」「AIを使ったから著作権がない」と一律には決まりません。
文化庁の資料では、AI生成物が著作物となるかについて、人の「創作意図」や「創作的寄与」などを考慮して判断する考え方が示されています。
簡単な指示をした場合
たとえば、
「猫のイラストを作って」
このように大まかな内容だけを伝え、具体的な表現の多くをAIが生成した場合、人がどの程度創作的に関わったといえるのかが問題になります。
単純にプロンプトが長いか短いかだけで、著作権の有無が決まるわけではありません。
具体的な指示や修正を重ねた場合
生成AIを利用するときには、
- 構図を具体的に考える
- 人物や物の配置を細かく指定する
- 生成結果を見ながら指示を変更する
- 生成後に自分で文章を書き直す
- 画像に自分で加筆や修正をする
といった形で、人が制作に深く関わることもあります。
AI生成物の著作物性については、このような人の創作的な関与を含め、具体的な制作過程などに応じて個別に判断されます。
AIで作ったものを自分で修正した場合は?
生成AIが作った文章や画像を、そのまま使うのではなく、自分で手を加えることもあります。
たとえば、
- AIが作った文章を大幅に書き直す
- 画像に自分で背景や人物を描き加える
- 複数の素材を組み合わせて構成を作り直す
といったケースです。
人が創作的な表現を加えた部分については、その部分が著作物として評価されることが考えられます。
ただし、「少し修正したからAI生成部分を含めてすべて自分の著作物になる」と一律に考えられるわけではありません。
商用利用できるAIなら著作権も大丈夫?
生成AIサービスの説明で「商用利用可能」と書かれていることがあります。
ここは特に混同しやすいところです。
「商用利用可能」と「著作権上問題がない」は別の話です
サービスの利用規約で商用利用が認められていても、実際に生成された内容と他人の著作物との関係については別に考える必要があります。
反対に、著作権上問題がないと考えられる場合でも、利用している生成AIサービスの規約で用途が制限されていることもあります。
会社のホームページ、広告、商品、販売物などに利用するときは、使用している生成AIサービスの最新の利用規約も確認しましょう。
ブログや会社のホームページで使うときのチェックポイント
AIで作った文章や画像を公開するときは、次のような点を確認しておくと安心です。
特定の既存作品とよく似ていないか確認する
有名キャラクターやロゴなどが含まれていないか確認する
生成した文章や画像を自分でも確認し、必要に応じて修正する
利用している生成AIサービスの最新の利用規約を確認する
重要な商用利用などで判断が難しい場合は、必要に応じて専門家に確認する
AIで作ったものなら「何でも自由」でも「全部危険」でもない
生成AIと著作権について調べていると、「AIで作ったものには著作権がない」「AIで作った画像は使ってはいけない」など、極端な説明を見かけることがあります。
しかし、実際には生成方法や利用方法、既存作品との関係、人がどのように制作に関わったかなどによって状況が変わります。
覚えておきたいポイント
AIで作ったものでも既存作品との関係には注意が必要です。一方、AIを利用していても、人の創作的な関与がある場合には著作物として認められる可能性があります。「AIを使ったかどうか」だけで決めつけず、生成された内容や作り方、利用方法を確認することが大切です。
生成AIを安全に使うための知識を学びたい方へ
著作権は、生成AIを利用するときに知っておきたい注意点の一つです。
ほかにも、AIがもっともらしい間違いを答える「ハルシネーション」、個人情報の入力、フェイク情報など、知っておくと役立つことがあります。
「AIには興味があるけれど、難しい専門知識まで勉強するのは大変」「普段使うために必要なことを一通り知りたい」という方には、KLCの「AIリテラシー講座(無料)」もおすすめです。
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まとめ|AIで作ったから自由に使えるとは限らない
今回のポイント
生成AIで作った文章や画像でも、既存作品との関係によっては著作権への注意が必要です。また、AI生成物自体に著作権が認められるかどうかについても、人がどの程度創作的に関わったかなどを含めて個別に判断されます。利用する生成AIサービスの規約もあわせて確認しましょう。
生成AIは、文章や画像を簡単に作れるとても便利な道具です。
便利だからこそ、「AIで作ったものだから何に使っても大丈夫」と決めつけないことが大切です。
ブログ、SNS、会社のホームページ、広告などで利用するときは、生成した内容を一度確認し、用途に応じて必要な確認を行ってから利用すると安心です。
参考資料・ご利用上の注意
本記事は、文化庁が公開している資料などを参考に、生成AIと著作権について初心者向けに分かりやすく紹介した一般的な情報です。個別の事例について、著作権侵害に当たるかどうか、特定の生成物を利用して問題がないかなどの法的判断を行うものではありません。
生成AIを取り巻く法令、行政機関の見解、裁判例、各生成AIサービスの利用規約や機能などは、今後変更・更新される可能性があります。本記事の内容は参考情報としてご覧いただき、実際に文章や画像などを公開・販売・商用利用する際は、文化庁などの最新の公式情報や、利用している生成AIサービスの最新の規約をご確認ください。
著作権やその他の権利について個別の判断が必要な場合や、利用してよいか判断が難しい場合は、必要に応じて弁護士などの専門家へご相談ください。